2007-12-23から1日間の記事一覧

無題(作家性を回避する作家性)

そんなわけでこの「主体性のない文体」だが、これについては作者の書き分けの技巧云々というよりは、全体に渡った特徴的な筆致であると見たほうが正しいのかもしれない。冒頭部を再度引用する。 ペナ山本という名前を付けた人物のことは何ひとつ知らないけれ…

(1)の嘘

ところで、この小説の嘘は、未完であるということかもしれない。作者はもちろんまだ書き続ける気でいたが、時間的余裕がなかったため、中途で筆を折ることになったようだ。いずれにしろ、これが完結したかどうかは甚だ疑問である。ひとまず「物語」として書…

ペナ山本の『発見』

ペナ山本という名前を付けた人物のことは何ひとつ知らないけれど、その名が何を素にして付けられたのかは知っている――現在人気急上昇の、某若手女性タレントの名前だ。ぼくはその某若手女性タレントを、何度かTVで観たことがある。 冒頭は、「ペナ山本」と…

理想的な逆転劇

もちろん僕は、いま、これらの言葉、例えば「主体性のない文章」「匿名性」「わたしの不在」といったような便宜上の呼び名について執着しようとは思わない。僕は言葉を自由自在にあやつることはできないし、もし本当に自由自在な言葉があったとしたら、人が…

躊躇について

問題なのは始まりである。なにかを書くにあたって僕の場合、まず最初に躊躇がある。それは後ろめたさとかそういった感覚ではなく、選択肢的な問題だ。これから僕が言葉を書く、決定済みのはずのそのことが、始まる言葉の選択如何でどのように流れうるかとい…