往復書簡(2) 筆者:幸田龍樹

 LOL 菊池さんへ

 いえいえ、不躾だなんてこれっぽっちも思っていませんし、むしろこういう風にやりとりをしていただけるということだけでも本当にうれしいです。受けた質問はできる限りお答えしたいですし、ぼくらも思い付く限りは、いろいろとお聞きしたいです。

 感想、ありがとうございます。あれはなんというか……あまりに粗削りというか、とにかく自分で納得のいっていない部分が多々あって、でも時間の都合上、ほとんど見切り発車の状態で発表せざるを得なかったものでしたから、それこそいろんな意味で心配していましたね。菊地さんも含めいくつかの方から好意的な評価をいただけたことで、ようやくホッとすることができたという感じで。

 ただ続きについては、今、極私的な理由で先に書き上げたいと思う作品(それを次回の文学フリマで発表します)があるので、それを書き上げた後に、発表した分を時間をかけて修正し、すべて完成させた上で、いつか一挙掲載しようと考えています。

 さて、質問への返答ですが……あの手法を用いたことと、逃げつつも抗うということには、切ることのできない、非常に密接な繋がりがあります。

 というのも、《小説とはかくあるべきだ》という考えが、ぼくにはあまりないんです。特にそこに描かれる人間や技法については、まったくと言っていいほどない。《かくあることだってある》、というのがぼくの考えなんですね。好き嫌いはあっても、否定は絶対にしない。《いい小説》をひとに薦めることは多々あっても、それはみな《かくあるべきだ》という風に捉えたものではない。ただ唯一、《かくあるべきだ》とひとに押し付けたり、押し付けられたりすることには否定したいんです。《かくあるべきだ》という観念にひとたび縛られると、それこそあらゆるものが終わるような気がするので。

 以上で返答は終わりです。どう説明すればいいか迷って、思っていた以上に時間がかかってしまいました。本当にすみません。何か不明な点があったらその都度お答えしますし、ぼく以外のメンバーにも何か質問などがあれば、どんどんして下さい。ミノさんにしてもコウジさんにしても、ぼくにはマネしたくてもマネできない、本当に素晴らしいものを持っていますし、考え方もまったくといいほど違いますから。

 それではお返事、楽しみに待っています。

 ムーンライダーズを聴きながら

 M@D AGE 代表 幸田龍樹